adele adele adele adele adele adele
adele adele adele
adele adele
adele adele adele

 これは愛し、愛されようとし、ひたすらに理想を追い求めた女性アデル・ユーゴーの恋と冒険の物語。 異郷の地まで叶わぬ恋を追って行くうちに、その無垢な思いがアデルを幻想と狂気の世界へ導いていった。
イザベル・アジャニの名を一躍世界に広めたトリュフォーの傑作。


<STORY 物語>

 1863年フランスにナポレオン3世が台頭し、アメリカでは南北戦争の真っ最中であった頃、イギリス領のカナダのハリファックスに、ひとりの若い娘が検問を擦り抜けて上陸した。娘の名は「ノートルダム・ド・パリ」「レ・ミゼラブル」をあらわした大文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女であるアデル・ユーゴー。彼女は初恋の人に会いたい一心で、家を出てこの異国の地までやって来たのだ。男の名はイギリス軍騎兵中尉アルバート・ピンソン。二人はかつてフランスで出会い、一夜を共にし、アデルは彼と結婚するつもりだった。しかし、ピンソン中尉にその気はまるでなく、アデルが苦労の末に人に託した手紙も無視されてしまう。
 アデルはハリファックスにあるサンダース家の下宿部屋から英仏海峡のガーンジー島に住む両親にあてて手紙を書き続けた。ピンソン中尉への一途な恋心と、生活費の無心がその内容だった。そんなある日ピンソン中尉が自らアデルを訪ねてきた。高鳴る胸の鼓動を懸命に抑え、精一杯の身繕いでアデルは彼の前に姿を現わした。しかし、それはアデルの執拗な求愛をきっぱり拒絶するためだった。泣き叫び、必死で彼の心をつなぎ止めようとするアデル。だが、男は去って行った。
 やがてこれを境にアデルはおかしな行動をとるようになる。両親に「お父さま、私はいま喜びに震えています。彼が私と結婚する決心をしたのです。」とピンソン中尉と婚約したと手紙を出し嘘の報告をする。折り返し、愛娘の一途な気持ちを限りなく慈しむ父ユーゴー。それが狂気じみた娘の虚言とも知らずに。 そして、ますます狂気じみてきたアデルは催眠術師を使って彼の心を呼び戻そうとしたり、ピンソン中尉の縁談に横やりをいれたりする。そんな時、アデルの母親がブラッセルで死亡し、同時にビンソンの隊がカリブ海のバルバドス島へ移駐した。あくまでも男の後を追うアデル。しかし、熱帯地で熱病に冒された彼女は、再びピンソンに出会えた時には、もう彼がわからなくなってしまっていた。



<DESCRIPTION 解説>

 これは文豪ビクトル・ユーゴーの娘アデル(1830-1915)が初恋の男を愛し、その情念だけで生きた壮絶なる愛の実話である。 現代ではこのような行動を「ストーカー」と簡単に呼ぶ事かもしれないが、「愛するがゆえに盲目になる純愛」と「つきまとうだけのストーカー」との境は大きい。しかし「勝手に愛する側」と「勝手に愛される側」の溝を埋めるきっかけは、「有りそうで無い」のが現実だ。 
 かといって「愛する」ことから逃げていては本当の愛は伝わらない。そこには「純粋に愛する心」が必要であり、また「相手を思いやる心」を持ちながら葛藤するつらさがある。愛する相手にその二つが伝わって初めて「愛」が生まれるが、当時としては型破りな行動力で一人の男を愛し、愛されようとして理想を追い求めたアデルの「愛」は未熟だった。時代背景は19世紀で現代の世界的風潮からいえば反時代的な物語に思えるが、 女性の持つ内面的な「愛」の深さとその高貴さを忘れてはならない。女性の愛にかけた情熱から生み出される狂気さと哀れさの美学を。



<AWARDS 受賞>

1975年度  フランス・シネマ大賞
1975年度  全米映画批評家協会賞・主演女優賞(アジャニ)
1975年度  ニューヨーク映画批評家協会賞・主演女優賞(アジャニ)
1975年度  ナショナル・ボード・オブ・レヴュー誌賞・外国語映画賞、主演女優賞(アジャニ)
1975年度  ダヴィッド・ディ・ドナッテロ賞・外国映画部門・主演女優賞(アジャニ)
1975年度  『ニューヨーク・タイムズ紙』ベストテン作品
1975年度  アカデミー賞・主演女優賞ノミネート(アジャニ)
1976年度  ジョルジュ・メリエス賞



<FICHE TECHNIQUE スタッフ>

制作総指揮
監 督
脚 本
原 作
撮 影
音 楽
指 揮
助監督
編 集
美 術
衣 装
録 音
英語版台本
翻 訳

マルセル・ベルナール、クロード・ミレー
フランソワ・トリュフォー
トリュフォー、ジャン・グリュオー、シュザンヌ・シフマン
フランセス・ヴェルノール・ギル(『アデル・ユーゴーの日記』)
ネストール・アルマンドロス
モーリス・ジョベール
パトリス・メストラル
シュザンヌ・シフマン
ヤン・ドデ、マルティーヌ・パルラック=キュリー、他
ジャン=ピエール・コー=スヴェルコ
ジャクリーヌ・ギュヨ
ジャン=ピエール・リュ
ジャン・ドーソン
ヘレン・G・スコット



<LES ACTEURS キャスト>

アデル・ユーゴー
アルバート・ピンソン中尉
宿の女主人・サウンダース夫人
サウンダース氏
ホイッスラー氏
大佐
ピンソン中尉の従卒
催眠術者
レノワール氏
医師マードック
裁判官ジョンストン
マダム・バ
コピイスト
兵士

イザベル・アジャニ
ブルース・ロビンソン
シルヴィア・マリオット
ルービン・ドレイ
ジョセフ・ブラッチリー
M・ホワイト
カール・ハスウェル
アイビリー・ギトリス
サー・セシル・デ・サウスマレツ
サー・レイモンド・ファラ
ロジャー・マーティン
マダム・ルイーズ
ジャン=ピエール・ルーセ
フランソワ・トリュフォー


1975年 フランス映画 レ・フィルム・デュ・キャロッス=レ・プロデュクシオン・アルティステ・アソシエ
97分/イーストマンカラー(メトロカラー)・パナヴィジョン
アメリカ公開:1975年12月(ニュー・ワールド配給
日本公開:1976年4月(ユナイト映画) / 1994年12月 フランソワ・トリュフォー没後10年追悼上映 (銀座テアトル西友)

Scene / Video Package

参考文献:「デラックスカラーシネアルバム イザベル・アジャーニ」(芳賀書店)
キネマ旬報 他



Infos Biography Filmography Videography Gallery Links Lounge Quiz Vote Interview Report

TOP PAGE

banner
MAIL